現実に何が起こるかを予想する
こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。
仕事において選択が必要になる場面があったとします。ここで、自分が正解だと思う行動を選択したとして、結果が好ましいものになるとは限りません。逆に強引な進め方をしたり他者から見て偏った選択肢を主張することで、立場が悪くなることもあります。よりよい結果を導いたり、状況を悪くしないために、自分の選択の影響を予想することが重要です。
この記事では、自分の選択の結果、現実に何が起こるか予想することについてまとめます。
好ましくない結果を見逃すパターン
自分の考えに基づいて何かの行動を選択した結果、好ましくない状況に陥ることがあります。その要因は大きく分けて2つに別れます。
- 行動の結果に対する検討が不足している
- 行動の結果に対する予想が外れている
1. 行動の結果に対する検討が不足している
自分が行動した結果について十分に検討していない場合に、好ましくない結果に陥るケースがありえるでしょう。
- 1-1. 結果について検討する習慣がないケース
- 1-2. 衝動を元に行動するようなケース
1-1. 結果について検討する習慣がないケース
例えば、多忙な時期に対応するコストが高い業務改善の提案をしたとします。提案した本人は当然受理されるべきもので、断られる可能性を考えていなかったとします。一方で、現実的に考えて多忙な時期に対応するコストが高い業務改善の提案があった場合、内容が妥当だとしても状況的に却下になるでしょう。これは、状況を踏まえて結果を十分に考慮していれば、予想できたはずです。
1-2. 衝動を元に行動するようなケース
例えば、未熟な同僚がいたとして、実力の不足からくる仕事の質の低さに対して怒りを覚え、強く叱責するようなケースです。相手との十分な信頼関係があり、叱責をきっかけに改善の努力をして成長し、見返す人もいるかもしれません。一方で、叱責に対して不満を感じ、叱られた要因となる実力の不足も解決できないまま、自信を喪失し、ストレスを増やすだけになる人もいるかもしれません。後者だった場合、関係性の悪化からチームとしての業務の質が低下したり、指摘を受けたメンバーが心身の不調に陥り、結果としてパフォーマンスがさらに低下することも考えられます。これも、相手との関係性や性質を考慮すれば、予想できたはずです。
2. 行動の結果に対する予想が外れている
自分が行動した結果に対する予想が外れ、好ましくない結果に陥るケースがありえるでしょう。例えば以下のようなケースです。
- 2-1. 認知の歪み
- 2-2. 前提の不足
※すべての出来事が予想可能とは限りません。ここで話題にしているのは、適切な選択肢を選べる可能性が高いにも関わらず誤った選択肢を選んでいるケースを想定しています。
2-1. 認知の歪み
例えば、ジュニアなメンバーの成長に取り組む際に、「あなたの仕事ぶりには不足があるので努力してください」と指摘をしたとします。この内容に対して奮起して、自力で成長できる人もいるかもしれませんが、それだけで自力で挽回できる人はむしろ少数派でしょう。これは育成に対する楽観性バイアス ( Optimism bias ) といえます。実際には、相手にどこまでを求めていて、現状の相手には何が不足していて、相手の次のステップとして何を学べばいいかまで寄り添うと成長の成功率を高めることができるはずです。
2-2. 前提の不足
例えば、現場の忙しさを人員の不足と捉え、マネージャーに5名の増員を提案したとします。忙しいなら人を増やせば良い、という考えがあるかもしれませんが、マネージャーの立場から見ると、
- 増員分の人件費
- 採用のコスト
- 育成のコスト
- チームを分割してリーダーを増やすコスト
- それらを踏まえた利益率の低下
などを踏まえて考えることになり、却下することになります。立場や視点によって、考える範囲や見える部分が違うことから検討に必要な要素が不十分になることがありえます。
好ましくない結果を見逃すパターンへの対策
- 『行動の結果に対する検討が不足している』への対策
- 『行動の結果に対する予想が外れている』への対策
1. 『行動の結果に対する検討が不足している』への対策
『行動の結果について考えていない』ケースへの対策には以下のようなものがあります。
- 1-1. フィードバックの獲得
- 1-2. ふりかえりの習慣化
1-1. フィードバックの獲得
周囲からフィードバックを得ることは、自分の行動と結果の関係を理解するのに有効です。これにより、自分の行動と結果を結びつけて認識する手助けになります。
1-2. ふりかえりの習慣化
週次など、定期的に自分の行動をふりかえり、どの行動がどのような結果をもたらしたのかを自己評価する習慣をつけます。これにより、行動の結果を予測する力が徐々に高まります。
2. 『行動の結果に対する予想が外れている』への対策
『行動の結果に対する予想が外れている』ケースへの対策には以下のようなものがあります。
- 2-1. フィードバックの提供
- 2-2. ふりかえりの習慣化
- 2-3. 視座・視野・視点の強化
2-1. フィードバックの提供
このケースについてもフィードバックの提供が有効です。予想が外れたということを自覚する必要があるため、周囲がその事実を知らせます。
2-2. ふりかえりの習慣化
このケースについてもふりかえりが有効です。予想が外れたということを自覚する必要があるため、自分自身でふりかえりを通してその事実を把握します。
2-3. 視座・視野・視点の強化
自分の視点だけを元に考えていると周囲の考えとのズレや周囲の人たちが抱える制約が抜け落ちます。結果として、本来加味すべき前提の検討が不足しているため、他者と衝突が生まれたり、不十分な結果に至ります。こういった状況を抜け出すには視座・視野・視点を強化するのが有効です。
視座を上げ、視野を広げるためには、マネージャーやチームの前提を理解し、仕事を共有することが有効です。また、短期だけではなく、長期的な影響について考えるのも有効です。